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18話 魔法の防護壁と、圧倒的な威圧感を放つ二体の巨大な石像

Author: みみっく
last update Huling Na-update: 2025-11-03 06:00:45

 警備兵の一人がふと、微かな違和感を感じ、隣の警備兵に話しかけた。

「おい、今何か感じなかったか?」

「感じた?いや、特に何も……でも、なんか妙に寒気がするんだよな」

「だ、だろう? ……もしかして幽霊でもいるのか?」

「勘弁してくれよ……。でも、一応……見回りを強化しとくか」

 二人は顔を見合わせ、さらに警戒を強めた。しかし、レイニーの姿を捉えることはできない。さらに上級の影移動となれば、気配に気付かれることもなく影から影へと移動が可能になるらしい。だが、影移動は生まれつきの特殊なスキルなのだという。

♢巨大な扉の先に

 警備兵をやり過ごした先に続くのは、古びた石造りの廊下だ。その奥を進むと、突如として目の前に巨大な扉が現れた。

 その扉は、分厚い鉄板でできており、何重にもわたる複雑なロックが厳重に施されている。扉全体には、古代のルーン文字がびっしりと刻まれ、神秘的な光を放っていた。暗がりの中でもその輝きはひときわ目立ち、近づく者に圧倒的な威圧感を与えている。

 扉の周囲には、魔法の防護壁が目に見えない形で張り巡らされており、侵入を試みる者を阻んでいる。封印の魔法が施されているため、淡い青い光が波打つように扉を覆っており、その近くに立つと微かな静電気のような感覚が肌をピリピリと刺した。

 扉の前には、二体の巨大な石像が威厳を放って立っている。それぞれが鋭い視線を放ち、まるで生きているかのように周囲を監視しているようだ。石像の持つ槍や剣は、ほんの少しの振動でも鋭く反応しそうなほどの緊張感を漂わせていた。ここまでして守らなければならないものが一体何なのか、レイニーの興味はそそられるばかりだ。自然と笑みがこぼれる。「ウフフ……お宝ちゃん、待っててね〜♪」

♢解放された何か

 レイニーはすぐに透視魔法で鍵の構造を観察し、その仕組みを完全に理解すると、魔法で鍵を操作し、見事に開錠した。

 心の中で「名付けて解除魔法だぁ〜!」と叫び、その高揚感にテンションが上がっていく。封印魔法は、古すぎて劣化したのか、拍子抜けするほど簡単に解除できた。重い鉄製の扉は、ギギギィィ……と軋むような音を立てながら、ゆっくりと開いた。

 宝物庫の内部は、無限の神秘と驚異に満ちていると噂されていたが、まさに今、その厳重な扉を開けて目の前に現れた光景は、その噂に違わぬものだった。扉の内側にも、幾重にも封印や結界が張られており、その厳重な防御体制は、収められた財宝や珍しいアイテムの途方もない価値を物語っている。特に厳重で異質な封印が施された区画が、レイニーの目に飛び込んできた。

「メインは、コレだな……」

 レイニーは心の中でそう呟いた。

 そこには異様な形をした壺があり、その表面には何枚もの封印の札が貼られ、さらに壺が置かれている台座にも複雑な封印の魔法陣が描かれている。どれだけ封印を強固にしたかったのか、区画全体に封印の結界まで施されている徹底ぶりだった。

 ここまで厳重に封印して、一体何を閉じ込めているのか、レイニーは気になって仕方がない。

「なにかな? なにかなぁ〜? 凶悪な魔物かな? そんなに危険なのかなぁ……」

 そんなことを呟きながらも、不安よりも好奇心が勝った。レイニーはためらいなく、軽々と封印された結界を打ち破り、中に入った。その瞬間、レイニーの頭の中に、禍々しくも甘く囁くような声が響き渡った。

「この封印を解いてくれれば、貴様の望みを何でも叶えてやるぞ? 金か? 地位か? 可愛い美女か?」

 封印された者からの甘い誘惑だったが、レイニーが興味をそそられるものは何もなかった。

「それは興味がないやぁ……」

 レイニーの素っ気ない返答に、声は驚きと焦りが混ざったように聞き返してきた。

「……望みはないのか?」

♢未知への渇望

 望みか……未知なる魔法、未知なる力に興味がある。せっかく異世界に来たのだから、それが知りたい。

「未知の力に興味があるかなぁ〜」

 何でも叶えてくれるというなら、俺の好奇心を満たしてくれるものが欲しい。レイニーは、ワクワクとした声を隠すことなく答えた。

「良かろう、その望み我が叶えてやろう。さあ、封印を解いてくれ」

 声はホッとしたように変わり、封印を解くように急かしてきた。

 言われるがままに、レイニーは目の前のあらゆる結界を無視して突き進んだ。ガラスがきしみ割れるような音が鳴り響き、目に見えない結界が次々と破壊されていく。そして、声の主が封印されている場所へとあっさりと近づき、封印の札をペリッと、まるで紙を剥がすかのように簡単に解除した。

♢ディアブロの解放

 封印が解かれたその瞬間、あたりの雰囲気が一変した。紫色の邪悪なオーラが目に見えるほど濃密に放たれ、部屋全体が異空間に変わったかのような感覚に包み込まれる。その邪悪なオーラは密度が高く、ピリピリと音を立てるかのようで、空気が重く、息苦しさを感じさせた。

 突然、地面が激しく震え、その中央に暗黒の裂け目が現れた。そこから、ゆっくりと悪魔が姿を現す。悪魔の目は血のように赤くギラつき、鋭い牙が不気味に光を放っていた。周囲の空間を歪ませるほどの圧倒的な存在感が、部屋を支配する。彼の登場と共に、部屋中に不気味な低い笑い声が響き渡り、レイニーの心を恐怖が一層深く覆い尽くした。

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